アプリケーションに関するFAQ

Quartz Crystal

• 発振回路で水晶振動子から信号が出力されない？

  オシロスコープまたは周波数カウンターを使用して水晶振動子の2つの端子で測定された信号出力がない場合は、指示に従い要因と可能な解決策を決定してください。
  
  ステップ 1-1.
  水晶のin端子(X in)とout端子(X out)の電圧を調べ、IC仕様通りの電圧が満たされているか確認してください。
  
  ステップ 1-2.
  水晶を取り外し、その周波数と負荷容量をテストし、専門の試験機を使用して振動子仕様を満たしているかどうかを確認してください。また、サプライヤーに送付してテストしてもらうことも可能です。
  
  ステップ1-3.
  水晶振動子が振動しない場合、負荷容量が仕様と一致しない場合、または電流周波数と目標周波数との間に大きなギャップがある場合は、水晶をサプライヤーに送付して品質分析を実施してください。
  
  ステップ1-4.
  周波数と負荷容量が仕様を満たしているが、問題も存在する場合。発振回路の評価を行う必要があります。また、サプライヤーに送付してテストすることも可能です。
  
  ステップ1-5.
  次の図は、CdとCgが外部負荷容量、Rfが帰還抵抗、 Rdがリミット抵抗である一般的な発振回路を示しています。

  

  
  

  
  

  負性抵抗(-R)は、発振回路の品質を評価する基準であり、安定した発振を維持するには、その値を水晶抵抗の5倍以上にする必要があります。従って、以下の指示に従って負性抵抗を測定することが非常に重要です。

  
  

  

  
  

  (1) 抵抗(Rx)を水晶と直列に接続します
  (2) 発振の開始点から停止点までのRxの値を調整します。
  (3) 発振中のRxの値を測定します。
  (4) 負性抵抗の値|-R|= Rx + Re、および Re =effective crystal resistance.
  
  ステップ1-6.
  ICの負性抵抗が低すぎて回路を駆動できない場合、改善策として3つの解決策を提案します(下記、ご参照）。
  (1) リミット抵抗(Rd)の値を下げます。ただし、周波数シフトと水晶駆動電流が同時に仕様を満たしているかどうかも確認する必要があります。
  (2) 外部容量(Cg、Cd)の値を下げ、負荷容量(CL)の小さい他の水晶を採用します。
  (3) 抵抗(Rr)の低い水晶を採用します。

• 周波数出力の偏差が、規格限度を超えシステムが機能しない状態ではありませんか?

  Step 2-1.
  周波数の測定値が、周波数カウンターの測定限度を超えた場合、外部キャパシタ容量CL(もしくはCd及びCg値）の容量を増やし、目標周波数を下げる必要があります (逆も場合も同様)。
  
  Step 2-2.
  測定された周波数が、目標値よりかなり高い場合は、静電容量 (CL) 値の小さい水晶を採用する選択肢もあります (逆の場合も同様)。

• 水晶パラメータの試験方法は？

  「pi Circuit」を等価定数測定機能を備えたネットワークアナライザに接続し,測定致します。 JISとIECは、以下に示す「π回路」の形状と内部抵抗を規定しています。

  
  

  

• 発振器回路の動作原理は、どのような回路図で描写されますか？

  一般的に水晶制御発振器は、アンプと、アンプ出力の一部を選択してアンプ入力に戻すフィードバックネットワークで構成されていると考えられます。 このような回路描写例を以下に示します。

  

  発振器回路を動作させるには、次の2つの条件を満たす必要があります。
  (A) ループパワーゲインは等しく統一されてなければなりません。
  (B) ループ位相シフトは、0.2π、4π等弧度（ラジアン）に等しくなければなりません

• 直列または並列共振周波数とは何ですか?

  下の図から明らかなように、水晶振動子はゼロ位相の2つの周波数を持っています。2つのうち最初もしくは、低い周波数成分は、直列共振周波数で、通常はFsと表現されます。ゼロ位相の2つの周波数のうち2番目もしくは、高い周波数成分は、並列周波数または反共振周波数で、通常はFaと表現されます。直列共振周波数と並列共振周波数はどちらも、発振器回路では抵抗成分に見えます。直列共振点では、抵抗値は最小になり、電流値は最大になります。

  

  水晶振動子ユニットは、発振回路のフィードバックループに受動性部品(通常はキャパシタ)を含めることにより、直列共振点と並列共振点との間の線に沿った任意のポイントで発振致します。
  
  fsおよびfaの頻度は、圧電セラミック材料とその物理的パラメータによって決定されます。等価回路定数は、次の式から決定できます。

  

• 水晶のCL値とは何でしょうか？ どのような影響があるのでしょうか？

  すべての水晶振動子は、直列共振周波数(fs・最も低いインピーダンスの周波数)があります。この周波数では水晶は回路では抵抗成分に見えます。水晶の共振は、水晶と直列に成分(キャパシタンス)を追加することで、この直列周波数から「引き出す」ことができます。外部負荷容量(CL)と組み合わせて動作させると、水晶振動子は直列共振周波数よりわずかに高い周波数範囲で発振します。これが並列(負荷共振)周波数です。
  
  並列水晶振動子を注文するときは、常に公称並列共振周波数と負荷容量値をピコファラッド(pF)単位で指定してください。例として、CLの標準値(15pF等)の表現にて注文いたします。また、キャパシタ値は水晶CLと一致するように計算されます。
  
  負荷周波数はCL値に依存します。その式を以下に示します。

  

  水晶振動子の出力周波数が目標周波数よりも高い場合は、外部容量CL(またはCd＆Cg値)を増やし、周波数を目標周波数まで下げる必要があります。また、中心周波数よりも高い周波数であれば、静電容量の小さい水晶振動子を採用する方法もあります。

• 水晶周波数の可変範囲が不十分か、可変範囲が非対称か？

  (1) 下図に示すように、回路の負荷容量と周波数可変の間には逆相関があります。これは、負荷容量が小さくなると周波数の可変範囲が広くなり、その逆もまた同様となります。
  
  (2) 一方、水晶特性は周波数可変範囲にも影響します。たとえば、トリミング センシティビティ(TS)、Co値、C1値があります。負荷容量の増分変化に対する分数周波数変化はTSと呼ばれます。C1値が大、Co値が小になると、周波数可変範囲は大きくなります。
  
  (3) 可変範囲が非対称の場合、つまり（C1/Coのうち）一方の側の可変が十分でなく、もう一方の側の可変が、十分に大きいという場合は、水晶の負荷容量値が調整されております。

• 発振回路のCL値により水晶の出力周波数の変化量は、広がり分布を持っています。

  周波数可変範囲と負荷容量の関係により、負荷容量が小さいほど、周波数変化はより敏感になります。その手順を以下に示します。
  
  (1) 負荷容量、Cg値とCd値を大きく取り、CLの大きい値の水晶を使用。
  (2) より精度の良いキャパシタをCg・Cdを使用。
  (3) より精度の高い水晶振動子を使用。

• 一般的な問題点

  1. 一般的な洗浄液または超音波洗浄法を使用して、製品の洗浄を行うことができます。しかし、特定の状況下では、超音波洗浄機は当社製品の発振周波数で異常な共振を発生させデバイスの電気的特性を悪化させ、さらにはデバイスの全体的な構造を損傷する恐れがあります。そのため、清掃前に検証テストを行うことをお勧めします。
  
  2. 音叉型製品は、超音波洗浄機の洗浄周波数に近い周波数帯で発振するため、異常共振の原因となり、機器の電気的特性が劣化したり、機器全体の構造が損傷する恐れがあります。したがって、超音波洗浄機を使用して音叉型製品を洗浄することは避けてください。この方法を使用して音叉デバイスをクリーニングする必要がある場合は、クリーニングプロセスの前後でデバイス機能を確認することをお勧めします。
  
  3. 干渉回避のため、製品近くの回路のレイアウトは避けて下さい。
  
  4．エラー機能回避のため、データシート上に“NC” 、“Do Not “connect”と明示されている端子から他の回路への接続は、しないで下さい。
  
  5．超音波溶接による実装、加工は避けて下さい。この工法は、過度の振動が、製品内内部の結晶にも広がり、特性劣化の原因及び、不発振の原因にもなります。
  
  6. 手付半田温度：手付半田温度は、350℃から370℃の間で行う必要があります。
  手付半田時間：手動半田付けの加熱時間は、通常3～5秒以内に完了する必要があります。

• 水晶製品を購入する場合のパラメターとは、どんなものでしょうか？

  主な必要情報
  公称周波数、負荷容量、許容差(+/-ppm)
  2次情報（Siwardまたは、業界標準によって異なる）
  製品寸法、ESR(等価直列抵抗）、C0（Shunt Capacitance)動作温度

• 人工水晶の切断角度は、温度特性にどのような影響がありますか？

  機械的な圧力が与えられると水晶の特定の面に電位が現れるという、水晶の圧電効果が発見されました。
  
  水晶には、AT,BT,CTカットなど多様な種類の切断角度があります。この切断角度により、弾性、圧電、そして電気的特性は異なります。
  
  最も汎用的に使用されるカット角はAT cut(Y軸 +35.15°）で、下記に概略図を示します。 AT cutは、他のカット角に比べ、もっとも安定した温度特性を有しております。

  

• AT-CUT水晶の特徴は？

  ATカットは、水晶振動子で最も汎用されているカット角度で、3次関数の温度係数により、その温度特性は決定されます。 また、広温度範囲で優れた周波数安定性を備えています。水晶振動子の周波数温度特性の仕様は切断角度の微調整によって決定されます。温度特性は、３次関数の温度係数により下記のような変動を示します。

  

• 水晶振動子側の出力周波数と水晶発振回路のCLが不整合の場合、出力周波数にはどのような影響がありますか?

  お客様のご要望に従い水晶振動子のCL値規格にて設計製造いたします。公称周波数とは、水晶発振回路のCL（Load capacitance ) による中心周波数変化量を微調整した周波数を示します。
  
  この水晶振動子と発振回路との周波数マッチングの整合がとれれば、お客様は満足します。
  
  CL値設定が水晶振動子よりも高い場合、出力周波数は公称周波数よりも低くする必要があります。
  
  CL値設定が水晶振動子よりも低い場合、出力周波数は公称周波数よりも高くする必要があります。

• CL値の計算方法は？

  下記の計算式にて、CL値（キャパシタンス値）を概算で算出いたします。
  
  CL=((C1 x C2) / (C1 + C2)) + C (浮遊容量）
  CgとCdはピアース発振回路の外部容量です
  Csは回路内のC(浮遊容量）で通常は2〜5pFの範囲です。